陰陽虚実論の陰虚証(2)

2011/04/18 Mon

陰陽虚実論の陰虚証

陰陽論の法則では

「陰が極まれば、陽となる」と言われます。

正に これに当てはまります。


 陰虚証=内熱を現す。これがkey word.です。

 内熱の意味は、陰は内側で寒を表します。

虚は反対の言葉に成るので、

この場合は、寒が熱に変わります。

よって、内熱と成るのです。

この内熱はけっこう曲者です。

身体が冷え過ぎなのに、対表面が冷たいのに、

身体の内部に熱が篭っているのですからね。

前の記述を繰り返しますが、

人体では体熱の異常低下により、非常事態が発令されて、

三焦が働き 熱を作り始めます。

これが内部の熱という作用が動きます。

これを「陰虚火動」または「陰虚内熱」と言います。

内に熱が存在しますので、表面に出てくる熱ではない、

熱が出てきても、微熱になるのです。

この微熱は 勿論冷やしてはいけない事は、

今までの説明でもお分かりと思われます。

では、皆さんは、何故冷やそうとするのでしょうか?

それは、熱に対しては冷やさなければ、と言う常識がそうさせるのです。

相手が物体ならば、それでも良いと思いますが、

人間は 生きています。生きた動物は 物体ではありません。

生きているのです。ここが、東洋医学の重要な所です。


 陰虚の原因

=体内の陰液の損傷により 陰の機能が低下します。

滋潤、滋養の作用が不足する病理です。

すると陽が偏盛し、陰虚すれば、内熱します。


 血虚証との共通症状では、

…皮膚につやがない、痩せてくる。

眼がかすむ、不眠が起き、動悸が出る。

脈は細脈、舌苔が少ない。

この辺で適切な治療を受けていれば良いのですが…

これが病が進んできますと、本来の陰虚証になります。


陰虚の主症状

=内熱の為に五心煩熱とか盗汗が特徴となります。

五心煩熱とは五つの芯です。手掌の2つ 足の裏の2つ 心臓です。

この5つが煩わしく熱が現れるのです。発汗ですね。

その他の症状には、

顔面(頬部)紅潮、のぼせとか火照りが起こります。

時に咽の渇きが出ます。ここまで来れば、十分に本人は辛いです。

仮に他人にこの症状を訴えても、

顔色がよいようですから、真実味がありません。

舌は深紅裂紋鏡面舌を呈し、

少し赤くなって、舌苔が奇麗に無くなり、光って見えます。

脈は熱のために数脈(速脈)になりますが、

時に細脈や浮脈などと変化いたします。

この症状がいっせいに現れるのではないが、

その症状を取っても、本人には不快で辛い症状です。

参考までに 古典では

帝曰 陰虚生内熱奈何 

岐伯曰 有所勞倦 形氣衰少 

穀氣不盛 上焦不行 下脘不通 

胃氣熱 熱氣熏胸中 故内熱 


 さらに「亡陰」と言う言葉があります。

これは、陰虚証が更に進んでしまうと、

陰液の消耗し過ぎにより起こるのです。

脈は洪大無力を示します。

病がここまで来れば、最悪です。

点滴か何かで、水分を補う事を一番に考えるのですが、

その前に、正しい診断をしていれば、適切に手を打てるのです。


陰虚証の種類には心陰虚証、腎陰虚証、

肝陰虚証、脾陰虚証、肺陰虚証と5つ全て存在します。

それぞれ臓腑の特徴が有りますが、ここでは省略いたします。

治療法として重要な事は

この全ては患者に対しては 冷やしてはいけません。

温める事です。この方法が一番重要なことなのです。

治療家の皆さん、勉強をして、実践で経験して、

この陰虚証を自分の物にして下さい。

そうすれば、治療の幅が出来て、

苦しんでおられる 多くの患者を助ける事が出来ます。

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 陰虚証(1)

2011/04/17 Sun

今日はヒノキの花粉の飛散が最高ですね~

今は鼻が腫れて、ピエロかトナカイの鼻のようです。(涙)

早く雨降ってくれ~と言いたいが、

また、放射能が落ちてくると、子供が心配ですね~

古典に

「降り始めの雨と夜風には当たるな」

と書いてあります。

この二つは 人の身体に悪い影響を与えるからです。

これを 今は実感しています。


陰陽虚実論ですが、2月頃に陰実証で終わっていました。(笑う)

今回、一支(き)国さんの指摘により、 残っていた陰陽論の

最後の陰虚証を書きたいと思います。

この「陰虚証」の人は結構多く居られますが、

実際の治療は真逆の治療を受けて、長く苦しんで居られます。

その為に、原因不明の微熱で、

長い闘病生活を送っている人が居られます。

または、極端な例では、多くの癌の末期状態も、

同じ、陰虚証の事で、苦しんでおられます。

昔の結核患者さんの寝汗も同じなのです。

実は、自分の体力が弱っているのにも関わらず、

微熱があり、動悸が起きているからです。

しかも、普段は手足が冷えていても、

時には、火照っている感じになります。

これらが、多くの治療家の誤解を 生じる事になるのです。

普通は高熱に対しては、鎮痛解熱剤で効果がありますが、

この微熱には効きません

返って、動悸が起こります。 

よって治療家は頭を傾げます。

では、体力が無いのに、何故、熱が出るのでしょうか?

自律神経は自分を守ろうとして、

「死」という、一番危険な状態からの脱しようとします。

例えば低血糖は意識不明になります。

だから、血糖を上げます。

低血圧は動けませんし、腎臓の機能が低下します、

だから、血圧を上げます。

コレステロールも同じです。

一般的には、体力が弱ると、体温が下がります。

これは常識ですね。

更に体温が下がって行けばどうなりますか?

低体温になれば、変温動物では、冬眠に入ります。

恒温動物では、死にます。 これは極当然の事ですね。

宿主が死んでは困りますから、

自律神経は 非常事態宣言をして、

体温を上げようとするのです。

この熱を外部から解熱してはいけないのです。

冷やすと、駄目です。必要ありません。

身体は、辛うじて体温を上げているのです

温めてあげるのです。補法を行います。

この時に、かなり医学的知識がある人でも、

冷やしたり、瀉法したり いたします。

これが、患者には 危険な治療になって行くのです。

このような状態を、「陰虚証」と言います。

次回は、東洋医学では、

陰虚証をどのような 定義をしているのかを見ます。

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顔色がわるい 虚実論(17)

2011/01/25 Tue

16日と22日の1月の勉強会で腎虚証が終わりました。

この勉強会で力を出し切ったのか疲れが…ド~ッと…

次回2月は腎虚証の選穴の意義と肝虚証に入ります。

日曜日の組は20日で土曜日の組は26日になります。

肝虚証が終われば4種類の経絡治療は終わります。


気を取り直して陰陽虚実論を始めます。

これも早く終わらして経絡に入りたいと思います。

陰虚証の前に軽く血虚証を話します。

血は陰と同じ性格ですから、

血虚が進行すると、陰虚になる事が多いのです。

よって血と陰にも共通の症状が現われます。

共通症状には

皮膚につや(光沢)がない、痩せる。

眼がかすむ、不眠が起きる。動悸が出る。

脈は細脈を現す。舌苔が少ない。

皮膚のつや(艶)は化粧でも隠せますが、

ここで一番辛いのが「動悸」です。

体温が上がるので自然に動悸になります。

脈も少し速くなりますが、緊張した細い脈です。

陰虚証になれば、これが更に強く現れます。

では何故血虚証に成るのでしょうか。

気血の関係は

重たい「血」を動きの良い「気」が押して

血を流しているような物です。

エネルギーの気      重たいが栄養がある血
軽い「気」 →押す→ 押す→「血」やっと動く

奥さんの軽快な叱咤の言葉で、お尻の重い亭主が動くような者です。

この「気」が弱ると「血」の動きが止まります。

「血」が少ないと「気」が多くても身体には栄養が巡りません。

気と血は一体ですからその内に気血両虚に発展します。

血虚の原因

血が不足し、血の滋養作用が低下している病理です。

では貧血ですか? となります。

貧血ですと言っても良いのですが、

似ていますが、貧血ばかりではありません。

血虚 > 貧血の関係です。

これは、大きな病気の後や産後などで身体が衰えた状態。

老人になると身体が衰え小さくなります。

血虚の主症状には

顔色が悪いのが特徴。(重要症状)

その他、顔のつやが無い、爪がもろい、

手足の痺れが出る。

筋肉の痙攣(筋肉がびくびくひきつる)

月経不順か無月経か月経量の減少

挙げると限がありませんね。

細脈で時に早く動悸を感じる。

舌の状態は舌淡泊か紅

舌体の表面に亀裂がある裂紋舌になります。

この様な人を見る健康人は

「あ~病人が~居る」となります。

でも本人はいたって平気です。

それは何故でしょうか?

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身体の中は冷蔵庫 虚実論(16)

2011/01/20 Thu

身体の中は冷蔵庫虚実16

陰実証の症状の一つに下腹部の膨満

身体は夏季の冷蔵庫の様です

モーターが過熱して、外部の放熱板が熱くなり、

内部は過剰に冷えて、この冷えが瘀血を生みます。

これは頭を使っている人が多いのです。

それは気が頭に上がっているから、

下部や腹部には空の状態になります。

下腹部の肥満(膨満)が現れます。

初期は単に瘀血ですから、なんでもないのですが、

治療を持続していないと、次第に瘀血が停滞してきます。

下腿のふくらはぎにも浮腫みとして現れてきます。

そうなると気血の循環障害が色々な症状を表します。

頭痛から始まり、更年期障害までと色々ですが、

これは、今までの生活習慣が大きく左右しています。

治療を繰り返す事で普通の状態になります。

腹部の瘀血反射がなくなり、スッキリするだけでも、

腹部の美容鍼を言っても良いと思います。


これからは治療家の範疇です。

鑑別の注意

陰実証は温かい物を飲みたがりますが、

陽虚証の場合は湿熱があるので、

津液が口に達しない為の口渇(喉の渇き)ですから、

本来の津液の損傷ではないので、

口渇があっても飲みたがらないのです。

(湿邪が長期間排除されないと湿熱に変化します。)

この症状から虚実も判定できます。


治療家は治療法に入る前に、

下記の古典を何回も読んでください。

そして、考えてください。

私の説明の他にまだまだ素晴らしいものが埋まっています。

銀かも金かもダイヤモンドかも知れません。

「難しい」と言って逃げないで、

「面白い」と前向きに考えてください。

そして、是非自分自身で探し出して下さい。

古典を読む場合、初めから骨を切らなくて良いのです。

皮から切ってから、身を切ってみて下さい。

(てい のたまわく)
帝曰

(いんさかんなれば ないかんを しょうずるとは なぜか)
陰盛生内寒奈何

(ぎはく もうさく)
岐伯曰

(けっき じょうぎゃくし)
厥氣上逆

(かんき きょうちゅうにつもりて しゃせず)
寒氣積於胸中而不寫

(しゃせざれば すなわち おんきさる)
不寫則温氣去

(かん ひとり とどまれば すなわち けつ ぎょうしくす)
寒獨留.則血凝泣

(ぎょうするときは みゃく つうぜず)
凝則脉不通

(注:他説に、この脈の字を甲乙経では腠理に作る。変更は自由)

(そのみゃく さかんにして だい もって しょく) 
其脉盛大以濇

(ゆえに なかかんす)
故中寒

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弱くなった場合~陰陽虚実論(14)

2011/01/14 Fri

前回は陰陽のどちらかが強くなった場合でした。

今回は陰陽のどちらかが弱くなった時を考えましょう。

陽が初めに弱くなった時です。

これは「陽虚証」に当たります。

 初めは陽が弱くなる
     ↓
 図    < 陰
        陰には変化がありませんが、

なんか「陰」が大きく、強く成っている様に見えませんか?

よーく、見てくんなはれ、

これは「陽」が弱はぁなったさかいに、

「陰」が強まった様に見えるんですがな。

その為に「寒」が起こります。

この「寒」は本当に起こった寒さではおまへん、

よって「虚寒」と言います。

大きな人を巨漢と言いますが、この場合は見せかけの虚寒です。

自分は成りとうもないのに、

無理やりに「寒」にさせられたのです。

こんな人を体質的な冷え性とされています。

「無理矢理の冷え性」は「実質の冷え性」とは違います。

普段から身体が弱くて、更に冷え性の自覚があります。

これが「陽虚証」となるんです。


次に陰が初めに弱くなった場合です。

「陰虚証」ですね。

 初めは陰が弱くなる
     ↓
 図    < 陽
        陽には変化がありませんが、

なにか陽が大きく、強く成った様に見えませんか?

図をよく見てみなさい。

これは「陰」が弱く成ったから、陽が強く見えるのです。

陽が強く見えると「熱」が生じます。

しかし、これは本当の「熱」ではありません。

嘘の熱ですから「虚熱」と言います。

身体が火照る、動悸がする、逆上せると大変です。

これがこれから説明する「陰虚証」なのです。

更に…

この陽虚証の普通の「陰」を攻撃的な治療をしますと、

一見バランスが取れたように見えますが、

陽が弱まっているのに、陰も弱まってしまいます。

陰虚証の強そうな「陽」を攻撃(瀉法)しますと、

一見バランスが取れたように見えますが、

陰が弱まっているのに、陽も弱まってしまいます

この様な見せ掛けの治療は最悪な結果となります。

本来普通の陰陽の状態の者を瀉法してはいけません。

よって診断が必要となるのです。

両方が弱くなった患者さんは

「鍼の為に調子が悪くなった」と

思って下されば良いのですが、

「私には鍼が合わない」と

思い込まれると、手の下しようがありません。

以前に所沢の学校で臨床をしていた頃には、

この「私は鍼が合わない」と思っている人が

私の鍼治療に来られていました。

矛盾していると思われますが、

紹介で初めは恐る恐る来られていました。

実際は刺激量(ドーゼ)を少なくするか、

刺激部位の変更で十分に対処できます。

それは陰虚証の虚熱で発熱している方に、

補法(おぎなう方法)を用いています。

よって、虚証タイプの人ばかりが集まって来られて、

実証タイプの人は殆ど来られませんでした。

これも問題ですね。

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