誤診と過誤治療 虚実論(6)

2010/12/02 Thu

誤診と過誤治療 虚実6

以前に陰虚証(虚証の最終段階)の人を治療していた時に、

その患者の背中に点々と瀉血の痕を見つけました。

これには一瞬言葉を失いました。

瀉血とは鍼で血を抜く事です。

大瀉法のなります。

陰虚証の治療は瀉法をしないで

体力を補う意味で、補法だけを行います。

「何で!」と心の中で叫びました。

急に治療に対するモチベーションも急降下です。

この患者には気血と刺激量(ドーゼ)を

慎重に考慮していたのですが、

本人は他での治療は一切受けていないとの弁でしたが、

実際は他の病院でも治療を受けていたのです。

その治療も瀉血という強い刺激でした。

これではこの患者の体力は奪われてしまいます。

何故この様な事が起きたのでしょうか、

陰虚証の場合は時に陽的、実証的な症状が現れます。

これは発熱や強い硬結や強烈な痛みです。

この症状だけを見ると「実」だと診ます。

しかし身体全体を診ますと「虚」が明らかなのです。

東洋医学では局所と見ても、必ず全体を診る事です。

局所の症状だけを診ていると、

この様な誤診が多く発生します。

この陰虚証は東洋医学に最も適した証です。

この患者の他の問題点は、

自分の生活の改善をしない事です。

また知識を多く持っているので、

色々な薬を自分で考えて飲んでいます。

注意しても聞いてくれそうもありませんから、

今は鍼灸治療をしばらく遠慮してもらっています。

しかし、

もし、人の間違いを指摘すれば、

多くは自分も間違いを犯しているものです


これは自分に固定観念や思い込みがあるからでしょう

後から仕舞った~と気付きましから、これが怖いのです。

話は変わりますが、

徳川家康の主治医が残している書に、

家康は局方医学(宋時代の湯液の書)を勉強していて、

医者の言う事を聞かないで困っている。

自分勝手に薬を調合して飲んでいると嘆いています。

自分の身体は自分が一番分かると思っているが、

本当は一番分かっていない事が多いのです。

囲碁でも傍目八目(いかめはちもく)という言葉があります。

ご存知のように当にこれです。
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テーマ : 鍼灸
ジャンル : 心と身体

コメント

Secret

本当の気付き・・・

先生のお気持ちが伝わることを心から祈ります☆

コスモさんへ

ありがとう、そう願いたいですが、
しかし・・・人はある観念に捉われています。
脱却するのは、難しいのではないでしょうか。
という私も同じです。
気を付けなければなりません。
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(井案)

Author:(井案)
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